1989年のバブル景気全盛の頃、マツダのユーノス店から発売された真っ赤なウーパールーパーのような顔つきのスポーツカー、それがユーノス・ロードスター。
当時、マニュアル車が幅を利かせていた頃、シフトノブを掴んで前に後ろにと動かしてギアチェンジしていた。父の日産バイオレット(セダン、マニュアル車)もそれだ。それとは対照的にロードスターはセンターコンソールからちょこっと飛び出た短いシフトノブ、驚くほど短い。手のひらでシフトノブを包み、手首の返しだけでシフト操作ができた。ギアの入り方もスコッと入った。とてもしっかり感があった。
ロードスターはスポーツカーでありながら、オープンカーでもある稀な車だ。幌を開けて走る爽快感はオープンカーの醍醐味の一つ。
ロードスターはパワステが付いていなかった。重ステだった。駐車場での切り返しは本当に腕の力が必要なほど。ところが一旦動き始めるとハンドル操作の印象がガラリと変わった。ハンドルが軽くなり、交差点をひとつ曲がる度にワクワクする感じが強くなった。
NAロードスターを買うことなく過ごしてきたあるとき、カーセンサーで見つけた198,000円の値札が着いたマツダ・ロードスター1.8VS(NB1)を買ってみた。NB1ロードスターを運転して首都高速を走ったときの爽快感は忘れません。ブリティッシュグリーンの車体、ナルディのウッドステアリング、タン色のひび割れた革のシート、ボロボロロードスターでしたが、ロードスターそのものでした。
プレジデント社が出版している「スピリット・オブ・ロードスター(池田直渡 著、ISBN978-4-8334-2198-0)」を読んで、初代ロードスター(NA)を何度も試乗したときの印象を鮮明に思い出した。笑顔になるて本当だと思った。
4代目NDロードスターが発売され、2年後にNB1からNDロードスターへ乗り換えました。
もし数十年前にNAロードスターを試乗していなかったら、今のNDロードスターに巡り合うことはなかったでしょう。今思えば、あの出会いは運命だったんだなと思います。
是非、ロードスターに興味があれば、この「スピリット・オブ・ロードスター」を読んでみて欲しいと思います。マツダの設計者の思いを感じることができます。ロードスターを運転すること、自体が楽しくて思わず笑ってしまう。それがロードスターなんですね。
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