ロードスター購入を迷っている方へ
車が好き、運転が好き、オープンカーが好き、スポーツカーが好き、そのような皆さんが必ず満足できる車、それがロードスターです。デビューしたてのロードスターを何度も試乗し、2代目、現行のロードスターを所有した私がロードスターの魅力をご紹介致します。
ロードスターの最大の魅力
1989年に発売されたロードスターの最大の魅力は、運転する「楽しさ」と言っていい。
当時、社会人になったばかりの僕は、休日となれば新車の試乗を目的にトヨタ、日産、ホンダ、マツダのディーラーに足を運んでいました。バブル景気でバンバン新車が発売される中、多店舗化していたマツダのユーノス店からライトウエイトスポーツカーが発売されました。それがロードスターです。高級車のマツダ コスモやハイソカーのトヨタ ソアラが全盛の頃でした。
はじめてユーノス ロードスターを試乗したとき、そのワクワク感は半端なかった。
ロードスターは他の車と一線を画す車でした。試乗車はクラシックレッドに塗られたコンパクトな車体で、乗り込もうとドアハンドルを探したら銀色の細長いドアハンドルでした。他の一般車で同じドアハンドルを持つものは1台もありません。操作は人差し指をその細長いドアハンドルに引っ掛け、一旦ドアを手前に軽く引き出します。続けてドアの縁に手をかけ直して、乗り込めるだけのスペースができるところまでドアを開きます。後は体をファブリック生地の黒いシートに滑り込ますだけでした。
運転席に座るとフットスペースはミニマムでアクセルペダルとブレーキペダルの高さが一緒でした。これのメリットはブレーキとアクセルを同時に操作(ヒールアンドトウー)しやすくなります。感動もの!!でした。ドアを閉めて右手をMOMO製の本革ステアリングへ、左手を一段高くなったセンターコンソールに置くと、手のひらが短いシフトレバーの頭に被さるように設計されていました。
イグニッションキーを回して、エンジンを掛けてみると、排気量1597ccのFFファミリアの横置きエンジンを縦置きに手直しただけとは思えない感じだった。ウインカーを左に点けて車道に入ってアクセルを踏んでみると、グイグイと加速してくれた。1.6リッターの車でも車体が非常に軽いので加速フィーリングが良かった。車両重量940kg、数値以上に五感を刺激してくれました。
試乗コースは1ブロックを反時計回りに一周しました。最初の交差点手前で軽くブレーキして、ステアリングをぐっと左に切った瞬間、車のノーズが交差点内側にグイと入り、今までに経験したことない反応でした。交差点が来るたびワクワク感が高まり、ステアリングを切る度に笑いが込み上げてきました。
ユーノス ロードスターの最大の魅力は、運転する「楽しさ」。それを実感した瞬間だった。
双対する車のホンダ プレリュード2.0XX 4WS
ホンダ プレリュードはユーノス ロードスターと全く真逆の車だ。
各自動車メーカーが発売する車は常に「世界初」の機能を売りにしていました。ロードスターが発売される2年前、1987年にホンダからスペシャリティカーが発売されました。ホンダ プレリュードです。先代の車がデートカーとして非常に高い人気でした。
入社2年目でたいした給料ももらっていなかった僕は、会社の先輩から新しくホンダ プレリュードが発売されたから見に行こうと誘われて、千葉の問屋町にあるホンダのディーラーに行きました。先輩は購入契約が目的でした。僕は先輩が購入する車がどれほど魅力的なのか見てやろうと思っていました。店に着いてまず驚いたのはボンネットフードがフロントのサイドフェンダーよりも5cmくらい低かったことだ!! この中に2リッターのDOHCエンジンが後傾して搭載されているなんてビックリでした。
ボディースタイルは2ドアクーペのビュレットスタイル。ユーノス ロードスターの丸く可愛いフロッグスタイルに比べて、ホンダ プレリュードは前衛的で尖ったデザインだった。バブル景気をそのまま体現しているような感じもありました。実はここから本当の意味での衝撃が待っていました。
世界初、機械式の舵角応動タイプの4輪操舵システム(4WS)だ。4WSの試乗車が用意されていて、先輩が運転席に乗り込んでいました。先輩が運転席からステアリングを回すから前輪と後輪の動きを見てほしいと言われ、車両右後方に立ち車輪の動きをじーっと見ていたら、その車輪の動きは、生き物のようにクネクネと動いてみせたのだ。ステアリングの切り始めは前輪と後輪は同位相で動き、ステアリングを右に切ると前輪は右に向き、後輪も同様に右に向きました。高速時のレーン変更や衝突回避に有効だった。実体験でレーン変更の動き出しはとてもスムーズでクイックだったのを覚えています。続いてステアリングを更に切っていくと、後輪が同位相からニュートラル、更に逆位相になりました。低速時の小回りや車庫入れなどしやすいと思いました。実際、データによると4WS非装着車の最小回転半径が5.3mに対して4WS車は4.8mと0.5mも小回りでした。
試乗が終わって、改めてホンダ プレリュードの「世界初の機械式舵角応動タイプの4輪操舵システム」に魅了されてしまった。僕も先輩と同じく購入契約書を書いていました。
ロードスターのコミュニティー
ロードスターが発売されてから、36年が過ぎた2025年の春。ロードスターは今も生産、販売が続いています。年間販売台数を見てみると、2022年が9,577台、2023年が5,984台、2024年が9,543台になっている。全世界で見てみると累計生産120万台!! 世界中にいるロードスターを愛して止まない「ロードスターファン」が、人と車のコミュニティーを作り、ライトウエイトスポーツの裾野を広げている。これ程までに愛されている車は他にないと思う。
世界初の機能を満載したホンダ プレリュードは2001年の生産、販売を最後にカタログから消えましたが、ロードスターは新車で購入することができるし、軽井沢ファンミーティングに参加することもできます。
ロードスターの最大の魅力は確かに「運転する楽しさ」であると同時に、ロードスターを介して人と繋がり、コミュニティーで交流が深まる。そんな魅力が詰まった車なんだ。当時のカタログ1ページ目に書かれた「だれもが、しあわせになる。」のコピーは、現在のカタログにも記載されています。
まとめ
世界初の機能を満載したホンダ プレリュードとオールドテクノロジーのロードスターを対比させ、「だれもが、しあわせになる。」のコピーを36年間掲げ続けたロードスターの魅力「運転する楽しさ」にフォーカスしました。
僕は初代ロードスターのオーナーにはなれなかったけれども、2代目NBロードスターや現行のNDロードスターのオーナーになりました。日々、ステアリングを握る度に「だれもが、しあわせになる。」を実感しています。
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